東京府中のギター教室ハヤタギタースクールです。
今回のテーマはコードの機能(ファンクションとも言います)です。
ダイアトニックコードの7つのコードがそれぞれどういう働きをするのか書いてみます。
ダイアトニックコードを機能(ファンクション)ごとに分類してみよう
7種類のダイアトニックコードにはそれぞれ機能があります。
役割があるのです。
例えば、
- このコードが鳴ると落ち着く
- このコードが鳴ると不安定になる
とかです。
解説はどのキーにも応用が利くようにディグリーネームを主に使いますが、
わかりやすくキー=Cで具体例を書きながら進めていきます。
トニックコードとその代理コード
トニックコードとは?
トニックコード(トニックと略して言う)とは安定した、終わったと感じるコードです。
ダイアトニックコードのうち、以下の3つがトニックの機能があります。
- Ⅰ
- Ⅲm
- Ⅵm
キー=Cでは
ディグリーネーム | 機能(ファンクション) | コード |
Ⅰ | T | C |
Ⅲm | T(s) | Em |
Ⅵm | T(s) | Am |
※Tは(tonic)、(s)は代理コード(substitute・chord)の略
C、Em、Amがトニック系となります。
トニックといえばⅠが有名ですが、ⅢmやⅥmもトニックの代わり(代理コード)になれます。
理由は後述します。
例えば、
C-F-G-C
というコード進行の場合、Cの部分はEmやAmに置きかえても大丈夫です。
例えば、このようにアレンジすることが可能です。
- Am-F-G-C
- Am・Em-F-G-Am
こんな風にトニックとトニックの代理コードは仲間なので、コードの置きかえが可能になります。
②のようにコードを置きかえるとベース音が
ミファソラ
となり、Cメジャースケール上を1つずつ上がっていくので、曲が盛り上がる感じを演出できます。
サブドミナントコードとその代理コード
サブドミナントコードとは?
サブドミナントコード(サブドミナント)は一時安定と表現されることが多いです。
私的にはトニックでもないし、ドミナントでもない中途半端なコードという印象です(笑)
ダイアトニックコードのうち、以下の2つがサブドミナントの機能があります。
- Ⅳ
- Ⅱm
キー=Cでは
ディグリーネーム | 機能(ファンクション) | コード |
Ⅳ | SD | F |
Ⅱm | SD(s) | Dm |
※SDは(sub dominant)、(s)は代理コード(substitute・chord)の略
先程のコード進行
C-F-G-C
のうち、Fの部分はDmに置きかえて大丈夫です。
C-Dm-G-C
ドミナントコードとその代理コード
ドミナントコードとは?
ドミナントコード(ドミナント)は不安定な、緊張感のあるコード。
落ち着かないコードなので落ち着くトニックに行きたがる性質を持っています。
- Ⅴ
- Ⅶm(♭5)
キー=Cでは
ディグリーネーム | 機能(ファンクション) | コード |
Ⅴ | D | G |
Ⅶm(♭5) | D(s) | Bm(♭5) |
※Dは(dominant)、(s)は代理コード(substitute・chord)の略
不安定さを強く出したいため三和音で作られている曲でも、
ドミナントコードだけは四和音のⅤ7やBm7(♭5)が使われることが多いです。
先程のコード進行
C-F-G-C
これをまず、Gの部分を四和音にします。
①C-F-G7-C
そして、同じ機能を持つ仲間内で置きかえるとこんな感じにできます。
②C-F-Bm7(♭5)-C
理論上②のような進行も可能ですが、フォークやロックでは使用頻度はあまり高くないです。
コードの機能一覧
ディグリーネーム | 機能(ファンクション) | コード |
Ⅰ | T | C |
Ⅱm | SD(s) | Dm |
Ⅲm | T(s) | Em |
Ⅳ | SD | F |
Ⅴ | D | G |
Ⅵm | T(s) | Am |
Ⅶm(♭5) | D(s) | Bm(♭5) |
※Tは(tonic)、SDは(sub dominant)、Dは(dominant)、(s)は代理コード(substitute・chord)の略
T、SD、Dの3つのコードのことをスリーコードと言います。
キー=Cでは
- C
- F
- G
です。
スリーコードは曲作りの基本となるだけではなく、セッションでも多々使用されるのでどんなキーでもすぐに弾けるようにしておきましょう。
トニック、サブドミナント、ドミナントと分けれることはわかったけど、どんな基準で3つに分かれているのか簡単に補足しておきます。
何度も書きますが、キー=Cで説明します。
まずはトニックから。基準は2つあります。
①トニックとその代理コードはコードの構成音に
ミが含まれ、ファが含まれていません。
②トニックであるCの構成音3つのうち(ドミソのうち)
2つの音が含まれているのが代理コードであるEmとAmです。
簡単に言うと、構成音3つのうち2つも同じだから仲間じゃん!ってことです。
①と②は結局は同じことを言っています。
(つまり、CとEmとAmは同じ仲間だよと言っています。)
②の方がわかりやすいと思うので②から検証して、
①の方もついでに検証してみます。
まず、トニックとその代理コードのそれぞれの構成音を書き出します。
C →ドミソ
Em→ミソシ
Am→ラドミ
Cの構成音を赤字で表しています。
EmもAmも、ちゃんと2つCの構成音が2つ含まれています。
これで②が証明されました。
そしてC、Em、Amの構成音をみてみると
ミが含まれていて、ファが含まれていないです。
これで①も証明されました。①は結果論的要素が強い気がします。
※レも含まれていないじゃないかという声が聞こえてきそうですが、レは各コードを四和音にすると、Emに含まれてしまいます。本当はこの辺りは四和音で説明したかったのですが・・・。私の準備不足です。
同じようにサブドミナントは
①ファを含み、シを含まない
②サブドミナントであるFの構成音のうち2つを含むのは、代理コードであるDmだけです。
検証は省略します。
ドミナントは
①ファとシを含む
②ドミナントであるGの構成音のうち2つを含むのは、
代理コードであるBm(b5)だけである。
トニック、サブドミナント、ドミナントは、
一応それぞれある基準に基づいて分けられていることを、
知ってもらいたく書いてみましたが、
別に知らなくてもいいところなので補足としました。
コード進行の流れに決まりはあるの?
結論から言えば、
コード進行の流れに決まりはありません。
(厳密に言えばカデンツというものがありますが・・・。)
前述のとおり、
ドミナントだけはトニックに進行したがる性質がありますが、
あえてそこを裏切って、
ドミナントからサブドミナントに進行してもいいです。(逆進行)
世の中には逆進行の曲なんて星の数ほどありますから、
気にすることはないのですが、
あえてドミナントだけその性質を書いたのは、
今後勉強していく「ドミナントモーション」を理解するのに必要な知識だからです。
ドミナントモーションとは簡単に説明すると、
ドミナントがトニックに進行して落ち着く一連の流れをいいます。
(詳しくは次回以降タイミングをみて書きます。)
追記
ドミナントモーションについての記事です。
簡単作曲講座6 ドミナントモーション
コードを置きかえてコード進行をアレンジしてみよう
さて、コードの置きかえができるようになると、
狙ったイメージ通りの曲が作れるようになります。
もちろん経験を積まないとなかなかイメージ通りにはなりませんが、
好きな曲のコードアナライズ(分析)をして勉強してみてください。
なんであの曲は感動するのかを自分なりに考えてみてほしいのです。
分析結果が正しければ、
あとは自分でも似たようなイメージの曲が作れるようになります。
分析が間違っていればイメージ通りには作れないと思います。
そうやって試行錯誤しながら、
曲作り、アレンジのスペシャリストを目指してください。